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全国日本
​修験道保存協会

全国日本修験道保存協会は、日本古来の修験道(しゅげんどう)の伝統、教え、行法、および関連する文化的・歴史的遺産を絶やすことなく未来へと継承し、広く現代社会にその価値を伝えるために設立された組織です。修験道は、飛鳥時代から奈良時代にかけて役行者(役小角)によって開かれたとされ、神道、仏教(主に密教)、陰陽道、道教などが融合した日本独自の山岳信仰・実践宗教です。日本全国の大自然・霊山を修行の場とし、過酷な山岳修行(入峰修行や滝行、護摩供養など)を通じて霊験(神仏の不可思議な力)を獲得し、その力をもって自他の救済を目指す「自利利他・実修実践」を根本の道としています。

しかし、明治時代の神仏分離令や修験道廃止令をはじめとする時代の変遷や、近現代における過度な都市化、過疎化、後継者不足により、全国各地に存在した修験の霊場や独自の行法、伝承の多くが衰退・散逸の危機に瀕してきました。このような課題に対し、全国日本修験道保存協会は特定の一派や地域にとらわれず、全国に点在する山岳修験の霊場、寺社、修行者(修験者・山伏)、ならびに研究者や一般の奉賛者が一丸となって連携する基盤として機能しています。

当協会の主要な活動は多岐にわたります。第一に、全国各地に残る伝統的な修行ルート(奥駈道など)の維持・保全や、古文書・装束・法具といった有形・無形の文化財の調査・記録・保護活動です。第二に、伝統に則った入峰修行や護摩法要の定期的な挙行、および次世代を担う修行者の育成・指導入門制度の確立です。第三に、一般市民や現代人に対する修験道の啓発・普及活動であり、体験修行や公開講座、シンポジウムなどを通じて、過酷な修行の根底にある「命への感謝」「自然との共生」の教えを分かりやすく伝える事業を展開しています。

総じて全国日本修験道保存協会は、単なる歴史的遺物の保管機関ではなく、今を生きる修験道の「生きている伝統」を守り育て、厳しい現代社会において人々の魂の拠り所となり、心身の清浄と平穏をもたらすための開かれたプラットフォームとして活動を続けています。

全国日本
​修験道保存協会

全国日本修験道保存協会の理念と社会的意義

全国日本修験道保存協会が掲げる根本理念は、「自然即仏(神)」の境地に基づき、山岳修行を通じて人間本来の生命力を蘇らせ、得られた悟りと慈悲の心を社会の平穏と人々の幸福のために還元する「実修実践(じっしゅうじっせん)」と「自利利他(じりりた)」の精神です。この理念は、理論や学問としての理解にとどまらず、自らの身体を使い、汗を流し、痛みに耐え、自然の息吹を全身で体感することによってのみ真理に到達できるという、修験道固有の体感型の教えに根ざしています。

現代社会における当協会の存在意義は、きわめて甚大です。第一に「精神的な救済と心の蘇生」という意義があります。テクノロジーが高度に発達し、情報が錯綜する現代において、多くの人々がストレス、孤独感、存在意義の喪失といった精神的課題に直面しています。修験道が教える「山に入りて験を得る(験力をもって自他を救う)」というプロセスは、都市の喧騒を離れて大自然の懐に抱かれ、自己の限界に挑むことで、精神の夾雑物を削ぎ落とし、本来備わっている生命力と感謝の心を呼び覚ます有効な道筋を提供します。

第二に「環境倫理と自然共生の再構築」という意義です。現代の地球環境危機は、人間が自然を征服・利用の対象とみなしてきた価値観に起因する部分が少なくありません。修験道では、山川草木悉皆成仏(あらゆる自然物に神仏が宿る)と考え、山々を母体や神仏の現れとして尊びます。当協会がこの精神を保存・発信することは、人間が自然の一部として生かされているという謙虚な倫理観を現代社会に提示し、環境保護や持続可能な社会の実現に向けた精神的基盤を創出することに直結します。

第三に「地域社会と伝統文化の活性化」という意義です。地方の霊山や古道は、地域の歴史やコミュニティの絆の中心であり続けてきました。協会が全国の修験霊場や伝統行事を支援・復興させることは、地域の過疎化を防ぎ、固有の文化遺産を未来へと繋ぐ地域再興の重要な原動力となっています。このように、当協会の理念と意義は、過去の伝統を守るだけでなく、現代が抱える精神的・社会的課題に対する力強い処方箋となる点にあります。

修験道を「保存し継承する」ことの真の意味

全国日本修験道保存協会が推進する「保存」と「継承」という言葉には、単に古い宗教的儀礼や文化財を「博物館の展示物」のように固定・保管する以上の、はるかに深い動的・本質的な意味が込められています。その真の意味とは、古代から育まれてきた日本人の精神的骨格であり、知恵の体系である修験道を「今生きる人間の智慧」として絶えず再生させ、未来の生命へと循環させていくことにあります。

修験道における「保存」とは、目に見える装束や法具、お経や作法といった形式の保護にとどまりません。本質的な保存の対象は、厳しい修行を通じて体得される「行法(ぎょうほう)」そのものと、そこから生まれる「祈りのエネルギー」や「目に見えないものへの敬意」です。修行の現場である霊山や古道が荒廃すれば、そこで培われる身体感覚や精神性も消失します。したがって、山林の環境保全や修行ルートの維持は、物理的な景観を守るにとどまらず、人間が自己を超越するための「聖なる空間」を保存することを意味しています。

また、「継承」の真の意味は、単なる知識の伝授ではなく、「命の伝承(即身成仏の体感の伝授)」にあります。修験道では「擬死再生(ぎしさいせい)」と呼ばれる修行のプロセスが存在します。山に入ることを「一度死ぬこと」に見立て、過酷な修行を経て山を出ることで「新たに生まれ変わる」という体験です。この死と再生のドラマを通じて、人間はエゴや執着を捨て、他者や自然への深い慈悲の心を獲得します。当協会がこの継承事業を行う意味は、過酷な社会を生き抜く現代人に対し、「いつでも自分を更新し、新しい命として力強く歩み出すことができる」という究極の希望を手渡すことにほかなりません。

結論として、全国日本修験道保存協会が担う役割の「意味」とは、古代の先達が命がけで切り拓いた山岳信仰の知恵を、現代の孤独や混乱に対する救済の光として再解釈・実践し、人と自然、人と人、人と神仏を結ぶ「目に見えない絆」を未来永劫へと繋ぎ続けるという、人類の精神史における崇高な使節の遂行にあります。

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